アルミニウムとは 展伸材の選定基準 物理的特性 機械的特性
◆特徴 ◆種類 ◆呼称 ◆一般的性質 ◆調質 ◆展伸材のできるまで
◆一般的性質
 
 アルミニウム合金のおもな性質は添加元素の種類、量によって影響される。したがって材料の選択にあたっては個々の使用目的に応じて最適な性質をもつ合金を選ばなければならない。

◇展伸材
代表的なアルミニウム合金展伸材の一般的性質を表1.2に示すが、合金系ごとに類似な性質をもつ。

1) 1000系アルミニウム
 1000番台の表示は工業用純アルミニウムを示し、1100、1200が代表的で、いずれも99.00%以上の純アルミニウム系材料である。1100は陽極酸化処理(アルマイト)後光沢を良好にするCuが微量添加されている。1050、1070、1085はそれぞれ純度99.50、99.70、99.85%以上の純アルミニウム材料であることを示す。この系の材料は加工性、耐食性、溶接性などに優れるが、強度が低いので構造材には適さない。しかし、強度を要しない家庭用品、日用品、電気器具に多く用いられる。

 純アルミニウムに含まれるおもな不純物はFe、Siであるが、不純物が少なくなるにしたがって耐食性が向上し、陽極酸化処理後の表面光沢が改善される。このため、化学、食品、工業用タンク、装飾品、ネームプレート、反射板などに使われる。また、Fe、Siの量によってプレス成形性が影響されるため、その量、比を合金元素と同じように制御することも行われる。なお電気伝導性、熱伝導性にも優れるため、1060、1070は送配電用材料、放熱材として多く用いられている。

2) 2000系合金
 ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる2017、2024が代表的なもので、鋼材に匹敵する強度を持つ。しかし比較的多くの銅を含むため耐食性に劣り、腐食環境にさらされる場合には十分な防食処理を必要とする。航空機用材料として表面に防食処理を必要とする。航空機用材料として表面に防食を目的に純アルミニウムを合わせ圧延したクラッド材が使用されている。2014は高強度鍛造材として広い用途をもっている。

 溶融溶接性は他のアルミニウム合金に比して劣るため結合にはおもにリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が行われる。切削性は良好で、特にPb、Biを添加した2011は優れた快削性合金として機械部品に多く用いられている。

3) 3000系合金
3003はこの系の代表的な合金で、Mnの添加により純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させることなく、強度を少し増加させたものである。器物、建材、容器などに広い用途をもつ。

3003に相当する合金にMgを1%程度添加した3004、3104は、さらに強度を増加させることができるのでカラーアルミ、アルミ缶ボディ、屋根板、ドアパネル材などの材料として需要が多い。

4) 4000系合金
 4032はSiの添加により熱膨張率を抑え、耐摩耗性の改善を行ったもので、さらにCu、Ni、Mgなどの微量添加により耐熱性を向上させ、鍛造ピストン材料として用いられる。

 4043は溶融温度が低く、溶接ワイヤー、ブレージングろう材として使用される。また、この合金はSi粒子の分散により陽極酸化処理皮膜が灰色呈するためビル建築の外装パネルにも使用されている。

5) 5000系合金
 Mg添加量の比較的少ないものは装飾用材や器物用材に多いものは構造材として使用される。したがって合金の種類が多い。Mg添加量の少ない合金としては装飾用材、高級器物として用いられる5N01、車輌用内装天井板、建材、器物材として用いられる5005が代表的なものである。中程度のMgを含有するものとしては5052が代表的で中程度の強度をもつ材料としてもっとも一般的なものである。5083はMg含有量の多い合金で比熱処理合金としては最も優れた強度をもち、溶接性も良好である。このため、溶接構造材として船舶、車輌、化学プラントなどに使用されている。

 この系の合金は冷間加工のままでは強さがやや低下し、伸びが増加するという経年変化を示すので安定化処理が行われる。海水や工業地帯の汚染雰囲気に強く、外観を問題にしなければ防食処理を施す必要は比較的少ない。また、5083のようにMgを多く含むものは過度の冷間加工をあたえたまま、高温で使用すると応力腐食割れを生じることがあるので、通常、構造材としては軟質材が使用される。

6) 6000系合金
 この系の合金は強度、耐食性とも良好で、代表的な構造用材として上げられる。ただ、溶接のままでは継手効率が低く、ビス、リベット、ボルト接合による構造組立が行われることが多い。

 6061-T6は耐力245N/mm2以上でSS400鋼に相当し、設計上、たわみを問題としなければ、同等の許容応力が取れるという利点がある。鉄塔、クレーンなどに用いられる。6063は優れた押出性を備え、建築用サッシを中心に、6061ほど強度を必要としない構造材として使用される。
 6N01は6063と6061の中間の強度を有する合金で1982年にJISに登録された。

7) 7000系合金
 アルミニウム合金のなかで最も高い強度をもつAl‐Zn‐Mg‐Cu系合金と、Cuを含まない溶接構造用Al‐Zn‐Mg合金に分類できる。後者はわが国では、いわゆる三元合金として親しまれている。Al‐Zn‐Mg‐Cu系合金の代表的なものは7075で、航空機、スポーツ用品類に使用されている。Al‐Zn‐Mg合金は比較的高い強さをもち、溶接後の熱影響部も自然時効により母材に近い強さに回復するため、優れた継手効率が得られる。7N01がその代表的合金で溶接構造用材料として鉄道車輌などに用いられている。

なお、この系の合金は熱処理が適切でない場合には応力腐食割れを生ずることがあるので注意する必要がある。このためにJISに示された標準熱処理条件よりは過時効となる条件で焼き戻しが行われることもある。

8) その他の合金
 アルミニウムにLiを添加すると、密度が小さくなり、ヤング率は増大するため、理想的な低密度・高剛性材として航空機その他大型構造用のなどとして注目され、Al‐Li系、Al‐Li‐Mg系、Al‐Li‐Cu系、Al‐Li‐Cu‐Mg系などが実用化を目ざして開発されている。

 ほかに8000系合金として国際登録されている急冷凝固粉末冶金合金やその他の新技術の研究とともに新合金が数多く開発されている。

鋳造材
 鋳造材は展伸材にくらべて使用されている合金成分が各国で異なっている場合が多く、添加元素のわずかな違いで別の種類とみなされるものが多い。
 
表1.2 代表的なアルミニウム合金展伸材の一般的性質
合金 質別 ※1
耐食性
※1
食割れ性
耐応力腐
※1
成形性
※2
切削性
※1
ろう付性
※1 溶接性 ※1
鍛造成
ガス アルゴン 抵抗
1050
H24
A
A
A
D
A
A
A
A

1100

H24
H18
A
A
A
A
A
A
A
A
C
E
D
D
A
A
A
A
A
A
A
A
A
B
A
A
A
A
A
2011
T3
T8
D
D
C
A
C
D
A
A
D
D
D
D
D
D
D
D


2014
T4
T6
D
D
C
C
C
D
B
B
D
D
D
D
B
B
B
B
C
C
2017
T4
D
C
C
B
D
D
B
B

2024
T4
D
C
C
B
D
D
B
B

2218
T72
D
C

B
D
D
B
B
D
3003

H24
H18
A
A
A
A
A
A
A
B
C
E
D
D
A
A
A
A
A
A
A
A
A
B
A
A
A
A
A
3004

H32
H34
H36
H38
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
B
B
C
C
D
D
C
C
C
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
B
A
A
A
A




4032
T6
C
B

D
D
B
C
5005

H34
H38
A
A
A
A
A
A
A
B
C
E
D
D
B
B
B
A
A
A
A
A
A
B
A
A



5052

H34
H38
A
A
A
A
A
A
A
B
C
D
C
C
C
C
C
A
A
A
A
A
A
B
A
A


5154

H34
H38
A
A
A
A
A
A
A
B
C
D
C
C
D
D
D
C
C
C
A
A
A
B
A
A


5454

A
A
A
D
D
C
A
B
5083

A B
B
D
D
C
A
B

5086

H32
H34
H36
H38
A
A
A
A
A
A
A
B
B
B
A
B
B
C
C
D
D
C
C
C
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
A
A
A
A
A
B
A
A
A
A




5056

H38
A
A
B
C
A
C
D
C
D
D
C
C
A
A
B
A

5N01

H24
A
A
A
A
A
A
E
D
A
A
A
A
A
A
B
A

6063
T5
T6
A
A
A
A
C
C
C
C
A
A
A
A
A
A
A
A

6N01
T5
T6
A
A
A
A
C
C
C
C
A
A
A
A
A
A
A
A

6061
T4
T6
B
B
B
A
B
C
C
C
A
A
A
A
A
A
A
A
D
7003
T5
B
B
C
B
D
D
A
A
7N01
T4
T5
T6
B
B
B
B
B
C
C
C
C
B
B
B
D
D
D
D
D
D
A
A
A
A
A
A


7075 T6 C C D B D D B
※1:良好なものから順にA〜Dの4ランクにわけてある。 AおよびBのものは実用上ほとんど問題がないが、CおよびDのものには何らかの対策が必要か、あるいは制約条件に注意を要する。成形性、ろう付性、溶接性がDの場合は、一般にそれらの施工を行わないほうがよい。
※2:良好なものから順にA〜Eの5ランクにわけてある。 Aは切屑処理が容易である。ランクが下位になるほど切削速度などの条件の制約が厳しくなる。
 

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